TCK WAY Vol.6 高崎レストハウス ~幻のカレー~
東京コンテナグループでは、1990年まで群馬県高崎市で「高崎レストハウス」というカレー専門店を経営していました。開店は1959年。当時、高崎製紙の社長であった当社創業家初代の黑崎義平が、「東京から軽井沢の別荘に行く途中休むところがほしい」、と考えたのが開店の理由でした。「高崎レストハウス」は高崎初のカレー専門店で、烏川と碓氷川、観音山丘陵、霧積山、浅間山、そして榛名山の山並を見渡すことのできる小高い丘の上という最高のロケーションに建ち、画家の木曽久子氏がマネージャーとして店を切盛りしていたことから、同氏の人脈で多くの文化人が集う社交場となっていました。
有名人も良く訪れ、政治家の藤山愛一郎、作家では遠藤周作、野坂昭如、羽仁五郎など、また美術評論家として知られる洲之内徹らが立ち寄り、高崎映画祭の前身である「観たい映画を観る会」の出演俳優の懇親会にも利用されていたことから、西村晃、西田敏行、高橋悦治、太地喜和子や、歌舞伎の尾上松禄一座、前進座の座員など、多くの俳優が訪れました。
しかし、高崎レストハウスが多くの人々を惹きつけたのは、眺望と著名人が集う場としての魅力だけではありませんでした。レストハウスのカレーは、英国風とインド風の二種類あり、特にインド風カレーは当時未だ珍しかった本格的なインドスパイスカレーで、このカレーを食するために県内外から多くのお客様が訪れ、知る人ぞ知る高崎名物(?!)であったようです。
実は、当社では数年前、丁度各地でご当地カレーが続々と売り出され、話題となった頃に、この「高崎レストハウスカレー」を再現し、レトルトを商品化しよう、という社内の新規事業プロジェクトが発足し、実際にレシピの研究に取り組んだことがあります。当時の味を覚えていた、義平の孫にあたる現社長、黑崎素弘の舌を頼りに、プロジェクトチームはここぞと目をつけたカレー屋を巡り歩き、グループ企業が経営する居酒屋の厨房で日夜研究を重ねましたが、残念ながら往年の高崎レストハウスのカレーを再現するには至りませんでした。
どなたか、もし、“これぞ高崎レストハウスのカレー!”というレシピをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当社までご一報ください。
(終)
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